昔読んだ本に”神 この人間的なもの / なだいなだ著”(←左URLは、ある人の書評だが、私と180度違う考えも述べているが)という本があった。
コロリと私の宗教観を変えてくれた本でした。精神学者が考察した宗教観だけど、頷く事が沢山ありました。 おかげでと言っちゃ何だけど、私は無神論者になりました。


 とは言っても、私は宗教を決して不必要だとは思っていません。お寺は今でも我が家の菩提寺だし神社は宗教と言うより、日本人の心の拠り所として尊敬して居ります。特に禅の言葉は、脳天を叩かれたように痛いけど頷く事が沢山ありましたな〜。 一神に拘らない日本人のいい所,平和の拠り所だと思っています。

 一神教の人々は、生きるのに つじつまが合わなくなると ゆるく融通性でもって対処する人が大半だとは思うけど、原理主義といって教義に頑なに従おうという人達も出てくるようですな。こう言う人たちが自分勝手な指導者なる人に牛耳られる羽目になるんでしょうな〜。"イスラム原理主義者”の残酷なこと。集団きつね憑ですな。教祖を侮辱するだけで殺されてしまう。そう言えば日本でも昔24年前 筑波大の教授が悪魔の詩翻訳の出版で殺された事がありましたな。

 さて、科学が発達する前から何千年もかけて、人間のさまざまな苦しみを解消すべく心理的に治療してきた実績。仏教用語で“方便” 嘘も方便と茶化して言うけど、科学的に眉唾なことでも、悩みが解消されて病気が治ったりすることも結構ありますよね。今でも、個人でやる祈祷師、占い師なるものが沢山いますな。
 “鰯の頭も信心から“ はギャグだろうけど、現代医療の現場でも”プラセボ効果“といって、にせ薬を処方して、患者に心理的に治癒させる事もあるようだし……

 東西を問わず、荘厳な宗教伽藍や集団礼拝儀式。また、日本で言えば心の落ち着くお寺の庭、神社の杜の静謐、宗教儀式の心に与える依頼感、安心感。身をゆだねていると神はいないと思う私でも心が安らぐ瞬間があります。

 そういえば、私の父や母が死んだ葬儀の時、読経を聞きながら、今頃三途の川を渡っているのだろうな〜、彼岸へ行き着いたかな?もう安心だ 未来永劫に幸せに暮らしていけるのだろうな〜とか……悲しみを紛らすためだろうけど、あとで考えると、ちっとも理性的ではない考えにふけっていましたな。だけどその瞬間は、哀しい事よりも安堵感が強かった。自分で自分の脳をだまくらかしたんだろうな。そして お坊さんが唱える"表見せ裏を見せては散るもみじ" とか ”あしたには紅顔ありて夕には白骨となれる身なり”とか色々肯かされるお説教。しかし、読経のときの声明というのだろうか、さっぱり意味は判らないけど、何だかありがたい気持ちになるのは確かだったな(^_^;)……そして、子供の時から知っているお坊さんでも、この時だけは権威のある頭の下がる存在になるんだもんな〜。

 昔、あの漢字だらけのお経を解読しようとはまったことがあったけど、とてもじゃないが理解できなかった。ただ、浄土真宗の経典じゃないかも知れないけれども、般若心経だけは、沢山解説本があり、「色即是空、空即是色」そして後に続く文も理解できるような気がした。しかし最後の「羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦…(ぎゃーていぎゃーてい…」は梵語の呪文みたいだけど、意味があるのかないのかさっぱり?

 "知らしむべからず、依らしむべし"という言葉もあるようだけど、宗教はあんまり詳しく理解しない方が幸福なのかも?と思いましたな。
善男善女、仲良くお伊勢(or 善光寺)参り、この辺が日本人が平和に暮らす秘訣かも。

 さて、上記の本に依ると、 昔(古代)では、物理的な病気ではなく社会的な圧迫、迷信による圧迫その他心理的な要因に起因するさまざまな病気になる人が沢山いたようですな(今でも未開な地域では、“狐つき症候”の人が沢山出るらしい。かの国の火病もこの一種か?)
 初期の教祖、キリストでも釈迦やその他、教祖と言われる人は、その様な境遇にある人たちを様々な心理的なテクニックを駆使して助けた人たちだったようですな。心の医者だったんでしょうな。

 時代が下がり 文化が発達するにつれ人々も知恵がつき、生半可な説得では癒されなくなり、教団側も更に負けないように、心理的に教助できる仕掛けを考案したのでしょうな?
建物から、教義から、携わる人間から、初期には絶対有りえなかった壮大な仕掛けが出来上がっていますな。切ないぐらい人間を救済する為に考えた仕掛けであり、その宗教に帰依していない人に対してでさえ感動と安らぎを与えていますな。人類のすばらしい遺産だと思います。

 もっとも力が強くなりすぎて、宗教同士どころではなく国際的な紛争の原因にもなるから厄介な面もあるけどな……宗教に絡んだ戦争ほど悲惨な戦争は有りませんな


別にすすめはしないけど、宗教に?と感じている方は上記の本を一回は読んでみたら?今アマゾン古書で6円から売っていますよ。送料が257円程度かかるようだけど。

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